シーズン2【14時間目】 14時間目　教えて医療費 ～みんな知ってた?医療に関わるお金の話～

おっ、社会科の勉強かい? 私たちが怪我をしたり病気になったときには、病院で検査や治療を受けたり、薬局で薬をもらったり、いろいろな医療サービスが受けられるよね。この時にかかった費用が医療費だよ。そして、実は医療保険制度があることで、私たちはこの医療費を全額自分で負担する必要がないんだ。

タダだったら良いよね(笑)私たちが患者として負担する医療費は原則的に、かかった医療費の3割となっているよ。例えば、医療費が全部で10,000円かかったとすれば、窓口では3,000円だけ支払うよ。 (※年齢や所得に応じて負担割合は異なります)

下の表を見てみよう。

この表から、2021年度は国民全体で45兆359億円の医療費がかかったことが分かるね。そのうち私たち患者が負担したのは5兆2094億円、割合にすると12％で、残りはすべて保険料と公費で賄われているんだよ。

ただ、実際には皆から払ってもらった保険料だけでは全ての医療費を賄うことができず、国が不足分を公費（税金）で補っているんだよ。高齢化社会になって医療費が増えれば増えるほど、保険料に加えて、税金を払う私たちの負担も大きくなってしまう。だから、よく医療費の話が問題になるんだね。

病院が医療サービスを提供する対価として受け取るのは「診療報酬」と呼ばれているよ。そして、この診療報酬は細かく一つ一つの医療行為ごとに公定価格（点数）が定められているんだ。公定価格というのは国が決めた価格のことで、全国どこに行っても変わらない。つまり、安い病院とか高い病院というものは無くて、同じ検査、治療なら全国どの病院に行っても同じ医療費になるんだよ。

よく見ているね。検査や治療にかかった点数の合計が医療費となるよ。1点＝10円で計算するから、例えば合計が700点であれば7000円の医療費がかかったことになるね。ちなみに、医療行為ごとの点数はこの本に全て載っているよ。

診療報酬は厚生労働省の機関の一種である中央社会保険協議会（中医協）で審議され、決定されるよ。中医協は公益委員（学者など）、診療側委員（医師の代表など）、支払側委員（健康保険組合の代表など）の三者、20人で構成されていて、2年ごとに医療の進歩や日本の経済状況を踏まえて診療報酬の見直しを行っているんだ。これを「診療報酬改定」と呼ぶよ。

そうだね。それに、高額療養費制度といった経済的負担を軽減する公的制度もあるよ。

医療のお金に関する困りごとは病院の相談窓口や、社会福祉の立場から患者さんやその家族をサポートする専門家であるメディカル・ソーシャル・ワーカー（MSW）に相談してみよう。

おっと、医療費が同じというのは、保険が適用される医療サービスのことであって、例えば快適性や利便性などに関わる、患者さん自身が選択して受ける追加的な医療サービス部分は全額自己負担になってしまうんだ。これは病院によって様々だから、詳しいことはそれぞれの病院に尋ねてみてね。つまり、VIPルームの使用料は全額自己負担ってことだよ。